5−2 高強度・超高強度コンクリートに高性能AE減水剤(高性能減水剤)を使用する場合の留意事項
高強度・超高強度コンクリートは、通常強度のコンクリートとは性状がやや異なることがありますので以下のことに留意して下さい。
(1)骨材の表面水の管理
高性能AE減水剤または高性能減水剤の使用量を増加させることによって単位水量はさらに小さくすることができますが、高強度・超高強度コンクリートは、骨材の表面水の変動による影響を受けやすく、スランプや圧縮強度がばらついたり、練混ぜ効率が悪くなる場合があります。
(2)運搬上の考慮
高性能AE減水剤または高性能減水剤を用いたコンクリートは、AE減水剤を用いたコンクリートよりもスランプの経時変化が小さいことが特徴ですが、運搬条件によってはスランプ(スランプフロー)の経時変化が大きくなる場合もありますので、配車計画、荷卸し計画などについて十分配慮することが必要です。また、通常強度のコンクリートと比較して粘性が大きく、ポンプ圧送時の配管内での圧送抵抗が大きくなるので、ポンプの機種の選定等に考慮する必要があります。
(3)表面仕上げ
通常のコンクリートと比較してブリーディングが少なくなる傾向にあるので、表面仕上げの時期や作業配分を十分に考慮してください。特に、暑中においてはプラスチックひび割れが発生しやすくなりますので、表面養生剤を散布したり水を噴霧したりしてコンクリート表面の水分が蒸発するのを防ぎ、コンクリートが均一に硬化するように、仕上げ作業のタイミングやその後の養生に留意が必要です。
(4)高性能AE減水剤(高性能減水剤)の選定
高性能AE減水剤または高性能減水剤については、JIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)を参考にして選定します。
なお、高性能AE減水剤及び高性能減水剤については、製品情報に一覧表を示しています。
表5−5にNew RC施工基準に示されている調合の目安を、また、表5−6に実施工における配(調)合例を示しますので、参考にして下さい。
図5−1 粉体水比(水粉体比)と圧縮強度の関係*10
表5−5 高強度コンクリートの調合例(New RC、建研−混和剤協会実験)*11
設計基準強度 (N/mm2) |
水結合材比 (%) |
スランプ (cm) |
空気量 (%) |
細骨材率 (%) |
単位粗骨材 かさ容積 (m3/m3) |
単位量(kg/m3) |
水 |
セメント |
細骨材 |
粗骨材 |
SF |
混和剤 |
40 |
40.0 |
18 |
4.0 |
44.9 |
0.62 |
170 |
425 |
765 |
961 |
- |
高性能 AE 減水剤 |
60 |
30.0 |
21 |
3.5 |
41.4 |
0.62 |
165 |
550 |
676 |
972 |
- |
80 |
25.0 |
24 |
2.0 |
42.6 |
0.60 |
155 |
558 |
693 |
943 |
62 |
100 |
22.0 |
25 |
3.0 |
41.5 |
0.58 |
154 |
630 |
639 |
899 |
70 |
備考)セメント:普通ポルトランドセメント、細骨材:大井川産砂、鬼怒川産砂、粗骨材:青梅産砕石、SF:粉末シリカフューム
表5−6 高強度コンクリートの配(調)合例 (実施工)
コンクリート 適用箇所 |
設計基準強度 (N/mm2) |
水結合材比 (%) |
スランプフロー (cm) |
空気量 (%) |
s/a (%) |
単位量(kg/m3) |
高性能AE 減水剤 |
水 |
セメント |
シリカフューム |
細骨材 |
粗骨材 |
B×% |
鋼管 コンクリート柱 |
60*12 |
31.0 |
60.0 |
1.5 |
48.6 |
175 |
516(N) |
49 |
782 |
841 |
1.65 |
80*12 |
23.0 |
60.0 |
1.5 |
42.2 |
175 |
688(N) |
73 |
613 |
841 |
1.9 |
80*13 |
25.0 |
67.5 |
2.0 |
49.2 |
165 |
660(L) |
- |
777 |
837 |
1.4 |
橋梁(けた) |
100*14 |
20.0 |
60.0 |
2.5 |
47.3 |
135 |
574(FB) |
101 |
748 |
836 |
2.1 |
高層RC造 |
100*15 |
21.0 |
60.0 |
2.0 |
43.0 |
155 |
738 (N/スラグ石膏/SF:7/2/1) |
648 |
878 |
2.8 |
備考)N:普通ポルトランドセメント、L:低熱ポルトランドセメント、FB:フライアッシュセメントB種、SF:粉末シリカフューム
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