> TOP > −良いコンクリートをめざして− 高性能AE減水剤について 高減水とスランプ保持機構

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 高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ) | 参考文献

8. 高性能AE減水剤 (増粘剤一液タイプ) *21


8-1 高性能AE減水剤 (増粘剤一液タイプ) とは


 高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ) *16は,高性能AE減水剤と界面活性剤系の増粘剤を一液化したタイプの混和剤です。JIS A 6204 コンクリート用化学混和剤の高性能AE減水剤の規格に適合し,従来の高性能AE減水剤に分離抵抗性を付与した増粘剤一液タイプは,一般的なスランプコンクリートに近い配(調)合はもとより,単位セメント量を従来より低減した高流動コンクリートおよび中流動コンクリートを製造することができ,以下の特徴を有します。

1) 生コン工場でのセメント以外の粉体材料の設備増設の必要がなく,増粘剤の計量およびミキサへの投入といった人的な手間の労力を省略でき,一般のコンクリート製造設備のまま混和剤を変更することで対応可能です。
2) 製造段階において,細骨材の表面水の変動によるフレッシュコンクリートの品質の変動を緩和し,安定したコンクリートが製造できます。
3) 従来の高性能AE減水剤と同様な取扱いができ,硬化後の物性についても一般的な普通コンクリートの基本的性質を保持できます。
4) 粉体量を抑えても増粘剤系高流動コンクリートと同様の充填性を確保できることから,施工性の改善,締固め作業の低減,作業人員の削減などが期待でき,コスト低減および工期の短縮が可能となります。
5) 高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)を用いた高流動コンクリートは土木学会高流動コンクリートの配合設計・施工指針の増粘剤系高流動コンクリートに属します。

8-2  高性能AE減水剤 (増粘剤一液タイプ) の増粘メカニズム

 高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)の増粘作用機構概念図の一例を図8−1に示します。その増粘作用のメカニズムは,高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)に含まれる特殊増粘成分が水分子と反応して化学的な網の目状の組織を形成し,セメントペーストの安定性を高めるというものです。一般に増粘剤を使用したコンクリートのレオロジ−特性は,主として塑性粘度と降伏値で表現され,通常の増粘剤では塑性粘度と降伏値の双方を高めるのに対し,特殊増粘剤の場合は降伏値を増大することなく塑性粘度を高めて分離低減性を改善するものです。
 その他のメカニズムとしては,様々な種類の金属イオンが多量に溶け出しているコンクリート液相中で,金属イオンを介することで増粘成分であるポリマー同士が会合し,新たな高次構造(巨大なネットワーク構造)を形成させることで高い粘性を発現させるところに特徴があるもの*28などが報告されています。

図8-1 特殊増粘剤の作用機構概念図の一例*29
図8-1 特殊増粘剤の作用機構概念図の一例*29

8-3 高性能AE減水剤 (増粘剤一液タイプ) の性能

(1) 従来の増粘剤系高流動コンクリートとの比較例
 高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)を用いた高流動コンクリートと従来の増粘剤系高流動コンクリートを比較したコンクリートの配(調)合例を表8-2に,試験結果例を図8-2に示します。高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)を使用した高流動コンクリートは従来の増粘剤系高流動コンクリートに比べて50cmフロー到達時間が速く,粘性が小さい傾向にあります。U型充填高さはいずれも30cm以上を満足しており,十分な充填性を示していますが,従来の増粘剤系高流動コンクリートの方が若干大きい結果となっています。凝結時間は,従来の増粘剤系高流動コンクリートに比べて約2時間程度速く,これはコンクリート中の増粘成分量が少ないためです。また,圧縮強度はほぼ同等となっています。

表 8-2 コンクリートの配(調)合例


図8-2 高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)の試験結果例*29
図8-2 高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)の試験結果例*29

(2) 普通コンクリートの施工性改善への適用例
 普通コンクリートの施工性改善を目的として高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)を使用した目標スランプフロー60cmの高流動コンクリートと目標スランプ21cmの普通コンクリートを比較したコンクリートの配(調)合を表8-3に,試験結果を図8-3に示します。水セメント比と単位水量は同一のままで、単位粗骨材容積を低減し,高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)を使用することで分離のない高流動コンクリートが得られます。混和剤の使用量は増粘成分を含むため通常の高性能AE減水剤に比べて約1.5倍程度必要となります。スランプ保持性およびブリーディング量は,普通コンクリートと同等。凝結時間は使用量が多いため約90分程度遅延する傾向です。硬化性状では,圧縮強度,乾燥収縮率,中性化速度および凍結融解抵抗性等についても通常の高性能AE減水剤を用いた普通コンクリートと同等です。

表 8-3 コンクリートの配(調)合例


図8-3 高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)の試験結果例*29
図8-3 高性能AE減水剤(増粘剤一液タイプ)の試験結果例*29


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